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LDH(乳酸脱水素酵素)

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こんにちは高野英恵です。

今日はLDHについて書きます。

LDHは、乳酸をピルビン酸へと変換する酵素です



乳酸とは?

乳酸とは有機化合物の一種で
解糖系や糖新生という代謝過程でできる生成物です。



LDとLHDは同じ?

乳酸脱水素酵素は英語でLactate Dehydrogenaseと書くので
血液検査ではLDやLDHと表記されますが、どちらでも同じです。



LDHを理解するには、まず、
・糖質から摂取したグルコースをエネルギーに変換する解糖系
・身体の中で必要なグルコースを作り出す糖新生
・ATPというエネルギーを作りだすTCA回路
について少し触れておく必要があります。




解糖系と糖新生の双方に関わるLDH

解糖系とは、炭水化物や糖質が消化されできたグルコース(ブドウ糖)をピルビン酸などの有機酸に分解(異化)し、エネルギーを使いやすい形に変換していく代謝プロセスです。

糖新生とは、血中のグルコースが低下したときに、肝臓でグルコースを作り、血糖を安定的に維持し、供給する仕組みです。
乳酸、ピルビン酸から、グルコース(ブドウ糖)をつくる代謝プロセスを指します。



ピルビン酸って何?

ピルビン酸は解糖系におけるグルコースの嫌気性代謝の生産物です。

図の右側からも分かるように、グルコース→様々な代謝反応→ピルビン酸
が作られていますね。


ピルビン酸は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)により、
コエンザイムA (CoA、補酵素A)と結合するとアセチルCoAとなり、
クエン酸回路に組み込まれエネルギーを生み出します。



この「ピルビン酸」は、メルマガNo18で説明した
ALT(GPT):アラニンアミノ基転移酵素の所でも出てきましたが覚えていますか?

グルタミン酸からアミノ基を転移されるとアラニンにります。



ここで乳酸をピルビン酸に戻す働きをするのが、LDH(乳酸脱水素酵素)です。


脱水素酵素とは、英語で「デヒドロゲナーゼ」

つまり、有機物質から水素を離脱させる酵素で、生体の酸化還元反応をコントロールしています。

基質から水素(H)を奪い取って酸化する働きを持ちます。


LDH(乳酸脱水素酵素)は文字通り乳酸から水素を奪い酸化させることで
ピルビン酸を作り出しています。

TCA回路の中に入ってエネルギーを作り出す際に乳酸を利用するには、
ピルビン酸に戻す必要があるのですね。



LDHの補酵素なナイアシン

LDHを酵素反応させるには、補酵素としてナイアシンが必要です。

ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称でビタミンB3のことです。

ナイアシンは、全身の細胞での酸化還元反応に関係しており
補酵素として非常に重要なポジションを占めています。

一説によれば、ナイアシンは生体で500種類以上もの代謝反応に関与しているとされています。


食品として摂取したナイアシンはニコチン酸として吸収され、
体内でニコチンアミドに変わります。


ナイアシンは必須アミノ酸のトリプトファンから作り出すこともできます。



ビタミンBのナイアシンは、ビタミンB6におけるP5Pのように、
生体の中で使える形(還元型や酸化型)になることが必要です。


ナイアシンの場合は下記のような化学構造を取ります。

NAD:   酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(ナッド)
NADH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(ナドエイチ)
(水素を失うのが酸化、水素と結びつく反応を還元)


NADHは主に好気呼吸での中心的な役割を担いミトコンドリアで働きます。
解糖系やクエン酸回路で、グルコースと脂肪酸の酸化によって還元物質NADHが得られます。



ついでですので、NADPについてもみておきましょう。

NADにリン酸が付くとNADP、
NADHにリン酸が付くとNADPHになります。


リン酸化されても化学的性質・生化学的性質は
それぞれNADとNADPHとよく類似しています。


NADP   酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NADPH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
(酸化型NADP+では電子を受け取りやすく、還元型NADPHでは電子を放出しやすい)
東京大学 生命科学構造化センター/生命科学ネットワーク



LDHの酵素が働く代謝システムや補酵素のナイアシンについて事前に触れるだけで既にお腹いっぱいになりますね...



LDHは、赤血球、肝臓、心筋、骨格筋など全身各種の臓器や筋肉に多く含まれます。

血液中には殆ど存在することはありませんが、臓器内の細胞壁破壊、細胞壊死
が発生すると血中にLDHが漏れ出すと言われています。

LDHが血中から多く発見される場合、何らかの障害が発生している兆候と見なせます。



癌細胞にも多く含まれている為、LDHの極端な増加は危険信号にもなり得りえます。

LDHの値が高かった場合、医師は悪性腫瘍が体の中にあることを頭の隅において検査します。
がんでLDHの値が高くなっている場合、治療でがんが小さくなるとLDHの値は下がります。
同じがんが再発すると、再びLDHは上がっていきますのでLDHは腫瘍マーカーとして使えます。


さて、LDHは、乳酸⇔ピルビン酸の反応を担いますが、同じLDHでも
ピルビン酸から乳酸を作る反応に向いているものと、
乳酸をピルビン酸にする反応に向いている物があります。



乳酸を作る反応に向いているのはM型LDHで、骨格筋の速筋線維に多く存在します。
ピルビン酸を作る反応に向いているのはH型LDHで遅筋や心筋に多く存在します。


よって、乳酸をピルビン酸にするH型LDHは、ミトコンドリアに接触して存在し、
乳酸がピルビン酸になると、ミトコンドリアに取り込まれて酸化されATP合成に使われるとされています。


LDHの数値を見る際に、この酵素の異常だけでは特定の疾患や障害が起きている部位を判断することが難しいため、LDH活性が上昇時には、アイソザイムを測定し、病態を把握することが大切です。

岡山大学 乳酸脱水素酵素アイソザイム

仮に、肝臓の障害によって上昇していると推定された場合には、
GOT・GPT、ALP、コリンエステラーゼ(ChE)、腹腔鏡検査、肝生検などの検査や、
臨床症状を合わせて総合的に判断され、治療が行なわれます。



LDHが高値になる状況

筋肉障害、慢性肝炎、ネフローゼ症候群、膠原病、甲状腺機能低下症、慢性腎炎、
アレルギー、アトピー、とびひ、溶血、細胞破壊亢進(細胞壁破壊、細胞壊死)、
運動直後など



■数値の上昇が著しい場合

白血病、悪性腫瘍、悪性リンパ腫、筋ジストロフェィー、心筋梗塞など


■LDHが低い値を示した場合

一般的な血液検査ではLDHが低い場合には特に問題とされないことが多いようです。

一方で、先天的に乳酸脱水素酵素の量が少ないヒトもいるようです。



翻って、栄養療法的な血液検査では、LDHの数値が低い場合には
身体が最適な健康状態を保てていないと判断するケースがあります。


まず、ナイアシン酵素であるため、ナイアシン不足で低値となります。

ビタミンB3など、ビタミン群が足りないことが示唆される可能性があります。


ナイアシンはトリプトファンから合成されるため、タンパク質やアミノ酸不足と捉えるドクターもいるかもしれません。


また、この酵素活性が低いということは、エネルギー代謝の障害が起こっているかもしれませんので不定愁訴や慢性疲労を訴える患者を診断する際にはとても重要な情報となります。


さらに、糖質の過剰摂取によっても、NADの消費が増加するため
ヒトによっては疲労感を呈する場合があります。

栄養療法.jp 管理人 高野英恵

info@eiyouryouhou.jp