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r-GTP(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)

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こんにちは高野英恵です。

今日はγ-GTPについて書きます。


メルマガ「No17. 血液検査における酵素の位置づけ」では、
γ-GTPは逸脱酵素に分類されると書きました。


逸脱酵素とは、身体に何らかの障害や刺激が与えられると、
組織が壊れて血中に染み出てくる(=逸脱してくる)酵素のことでしたよね。


r-GTPは主に肝臓や腎臓でつくられる酵素です。

肝臓系では、肝細胞や胆管細胞、胆汁中に存在し、

血中にあるr-GTPは肝臓に由来するものが大半を占めます。


■r-GTPが異常値(高値)になる状況


1. 酒の飲み過ぎ・肥満・脂肪肝・薬の服用

これらがあると、γ-GTPが血液中に漏れ出して数値が上がります。
特に、アルコールに短期的に反応するため、アルコール性肝障害の指標酵素のひとつとされています。

γ-GTPのみ高い値を示す場合は、原因はアルコールの摂取によるものが多いと判断されることが多いようです。


2. 胆汁うっ滞や胆管細胞の破壊

「胆汁」 とは肝臓から分泌される液体です。

脂肪を消化するために必要な液体で、
肝臓で1日に1リットルほど作られています。

胆汁はアルカリ性の液体で、
胆嚢に溜められている間、水分吸収され5~10倍に濃縮されたのち十二指腸におくられます。

胆汁の成分は、ビリルビリンという胆汁色素、コレステロール、胆汁酸塩などですが、
およそ90パーセントは水分です。


胆汁には消化酵素は含まれていませんが、
十二指腸で膵液と一緒になることで胆汁が膵液の持つ消化酵素を活発にし、
脂肪やタンパク質を分解して腸から吸収しやすくします。


脂肪が分解されるとできる脂肪酸は吸収されにくくなるため、
脂肪酸を吸収しやすい形状に変化させる働きもあります。


腸から吸収された胆汁はまた肝臓に戻り、
そしてまた胆汁として分泌される腸肝循環と呼ばれる往復する働きを持っています。


胆汁は「黄褐色」をしている...と解剖学や医学の本には書いてありますが、
間がたつと徐々に酸化されて深緑色になります。


引用:

胆石ガイド田辺三菱製薬中外製薬のウェブサイトが分かりやすいです。


「うっ滞」 とは、体液が正常に循環したり流れたりする事ができずに、
一定の場所に滞留してしまう状態を言います。


何らかの異常で肝機能が低下したり、胆管に胆石が詰まった場合にも、
うっ滞が生じることがあります。


よって、一般的な血液検査では、r-GTPの値が高くなると
アルコールの過剰な摂取を注意されたり、
服用している薬について質問されたり
肝臓や胆管の異常、結石や癌のスクリーニングが行われます。


r-GTPの数値が51IU/L以上になると、肝機能異常の疑いのマークが付けられるようです。



ここで、y-GTPの酵素としての生化学的な役割にも注目してみましょう。

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y-GTPは、グルタチオンや他のγ-グルミルペプチドから、
γ-グルタミル基をアミノ酸、ペプチドなどの受容体に転移する酵素です。


y-GTP(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)以外に
GGT(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)とも呼ばれています。

細胞内のグルタチオンの分解と再合成に
関係するアミノ酸の細胞内への取り込みに
重要な役割を果たしています。


血液検査で測定される
ALP(アルカリホスファターゼ)という酵素と
同様に膜タンパク酵素であり、
腸管、尿細管、細胆管などの膜に結合して存在します。

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と...このあたりは、複雑なので上記は無視してオッケー!

ここでは、y-GTPはグルタチオンを直接分解できる酵素だと、
ざっくり覚えておくだけでいいです。


「グルタチオン」とは、体内で合成することができる自然の抗酸化物質です。


分子整合栄養医学を勉強していく中で
「グルタチオンには抗酸化と解毒の作用がある」 という説明は頻繁に出てきますので、こちらも頭の片隅に置いておいて下さい。



グルタチオンは、
身体の中で活性酸素種を消去してくれたり、
有害なものを解毒してくれたり、
ダメージを受けた細胞を修復してくれます。

細胞がもともと持っている自己防衛機能の一つとされています。



グルタチオンはアミノ酸である
グルタミン酸、システイン、グリシンがこの順序で結合した
トリペプチド(アミノ酸が3分子重合した化合物)です。




さて、話をy-GTPに戻しましょう。


一般的な血液検査ではy-GTPが高いことが問題だとされる傾向が強いようですが、
栄養療法的な検査では、高値を示した場合の肝機能や胆管の問題に加えて
低値を示した場合には下記のような推察を行います。


■y-GTPが低値になる状況

・タンパク摂取の不足
・グルタチオン活性の低下
・溶血(死んだ赤血球から生じるビリルビンの上昇)
・妊娠後半



女性ホルモンはy-GTPを低下させる働きをもっています。
そのため、男性に比べて女性は基準値が低く設定されています。

分娩直前では、妊娠前の約1/2程度の値になるとも言われています。

一方で、新生児期ではγ-GTPは高く(成人の約2倍)、
乳児期・学童期を経て漸減(成人の約1/2程度)し、
思春期以降になると成人とほぼ同じ値となります。



γ-GTPについては興味深いレポートがありますので、ご興味のある方は読んでみて下さい。

京都大学化学研究所 GGT阻害剤 有機化学的アプローチ



前回と今回のメルマガでは、ASTやALT、γ-GTPといった酵素の働きや重要性について取り上げました。



ところが、現在でも酵素の仕組みや機能、化学構造に関しては解明されていない事項も多く、調べれば調べるほど泥沼におちいるかのように
人間の身体はどんなシステムから成り立っているのか、
ヒトという生き物を支える本質とは何かが見えなくなってしまいます...



私個人としては、学習を積み重ねていく中で思うところは色々とありますが、
普通の人がここまで詳細な生化学的機構を理解するのは現実的ではありませんし
その必要性も全くないと思います。



先に触れた「y-GTPがグルタチオンを分解する酵素」であることを
知っているドクターも殆どいないでしょう。
(知っているとすれば、溝口先生や宮澤先生、平良先生くらいでしょう....)


実際、栄養療法に取り組んでいる医療関係者は(上記のドクターを含め)
こうした個別の酵素に着眼しているというより、
問診や症状から読み取った患者の情報を土台として、
検査数値を病気の要素や結果の一部として考え合わせた上で
仮説を立てたり、治療戦略を練っているのが大半だと思います。



一つの項目や一種類の酵素が高値、低値を示していたからと言っても
それは単なる「検査結果のデータ」に過ぎません。


単一の項目や数値だけにこだわると、俯瞰してみるべき全身の状態や症状が
ぼやけてしまう危険性が出てくるかもしれません。


何より、患者の症状を改善するという本来の目的がズレてしまうリスクもありますね。



今日説明したy-GTPも、極端な例を除けば、それが単独で何かの意味を成すということはあまりない気がします。



栄養療法における血液検査の解読では
種々のファクターを総合的に勘案するスキルが大切で、
酵素機能を見極める場合においても、ASTやALT、ALP、ChEといった
関連項目を的確に組み合わせながら、深読みできる感覚を養っていくのが重要だと考えます。

栄養療法.jp 管理人 高野英恵

info@eiyouryouhou.jp